このページはトップページの 「水辺から、そして緑から…」 で紹介した記事のバックナンバーに、一部画像を追加し加筆したものです。 |
------------------------------------------------------ 19th. Feb. 2009 -------------------------------------------------- スプリングエフェメラル 「セツブンソウ」 |
||
画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。 |
セツブンソウが開花 兵庫県中央部のセツブンソウ自生地で開花が始まっていました。 花はまだどれも新鮮で、つぼみを上げかけているものも多く見られ、最盛期は今週末から来週にかけてでしょうか。 今日は現地では4〜4.5℃と冷え込んでいましたが、数日前に暖かい日が続いたので一斉に地中から姿をあらわしたのでしょう。 アズマイチゲ、 キクザキイチゲ、 ユキワリイチゲ などのつぼみも沢山上がっていました。これらの花の開花も今後の天候と気温次第でしょう。 ● 関西の花 セツブンソウ 西宮市内の渓流ではマンサクが開花し、三田市や西宮市の水田ではポツポツと水入れが始まっていました。 これからの季節が楽しみです。 |
|
花の拡大 花びらのように見えるものは萼片。花弁は2叉して先端が黄色くなった管状のもので、蜜を溜め、「蜜弁」と呼ばれる。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) |
斜面に群生するセツブンソウ (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) |
------------------------------------------------------ 14th. Feb. 2009 -------------------------------------------------- キクザキイチゲの出芽 |
||
画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。 |
根茎の先端から出芽したキクザキイチゲ 兵庫県中央部の林縁、春先の短期間の間に開花・結実し、夏には地上から姿を消すスプリング・エフェメラルのうちの1種、キクザキイチゲ(キンウポゲ科キンポウゲ属)が花茎を持ち上げ始めました。 本当は同じスプリング・エフェメラルの代表格であるセツブンソウの様子を見に来たのですが、まだ姿形すら見当たりませんでした。 しかし、このフィールドではいつも何かしらの発見があり、今回も期待を裏切りませんでした。 セツブンソウ の出芽が観察できなかった代わりに、キクザキイチゲの出芽と露出した根茎が観察できました。 ● 関西の花 キクザキイチゲ キクザキイチゲの自生地では、他には セリバオウレン が開花し、ハナウドが新芽を出し、ナニワズが花芽を付けていました。 西宮市内の里山では コハコベ、 タネツケバナ、 カンサイタンポポ、オオイヌノフグリ、フラサバソウの花に混じって、 スズメノヤリ の花序が上がり始めました。 また、市内の河原の氾濫源では昨日の雨で各所に水溜りができていて、そこに流されたカゲロウ類の幼生が、ヤゴやスジエビとともに沢山見られとても賑やかでした。 今日は気温も上がり、いよいよ春がやって来る気配です。 |
|
オオイヌノフグリ(左)とフラサバソウ(右) 花はオオイヌノフグリの方が大きく、色も濃い。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) |
河川の中流部にふつうに見られる。氾濫源の水溜りで沢山泳ぎ回っていた。 ※当初、フタスジモンカゲロウとしていましたが、Tさんのご指摘によりモンカゲロウであることが解りました。 腹部背面中央に縦条が入らない点がフタスジモンカゲロウとの区別点でした。Tさん、ご指摘ありがとうございました。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) |
------------------------------------------------------ 11st. Feb. 2009 -------------------------------------------------- 春先の湧水池にて |
||
画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。 |
カスミサンショウウオの卵のう 県央の湧水池では早くもカスミサンショウウオの卵のうが見られました。 カスミサンショウウオは西日本に広く分布しますが、環境省絶滅危惧U類、兵庫県RDB B種(絶滅危惧U類に相当)に指定されており、里山の湿地の水たまりや、水田の溝、小さな池に産卵を行います。 畳8帖程度の小さな池には4つの卵のうが産み付けられていました。中でも、画像のものは早い時期に産み付けられたようで、卵のうの中では幼生がかなり成長しています。 卵のうは池の底の中央付近の枯れ枝や草の周囲を少し掘り下げて産み付けられています。 以前、この池ではカスミサンショウウオとともにイモリが見られたのですが、今回は見当たりませんでした。 イモリがこの池から出て行ったのであれば、カスミサンショウウオの幼生はひとまず安泰ということになります。 この池では湿生・水生植物では オオバタネツケバナ、 ネコノメソウ、 オランダガラシ、 オオカワジシャ、 セリ などがいずれも沈水状態で生育しているのが見られます。 沈水状態のオオバタネツケバナが食害に遭っていましたが、何が食害しているのか気になるところです。 カスミサンショウウオの卵塊や幼生は西宮市内の棚田中の素掘りの水路や、湿地の細流にも見られますが、例年であればまだ今の時期には見られません。 3〜4月によく見かけます。 ● カスミサンショウウオの成体 (♂) (兵庫県篠山市 2008.3/29) カスミサンショウウオのオスは繁殖期になると、腹の横の縦の隆起が目立ち、尻尾は縦に扁平となります。 |
|
沈水状態のセリ このような場所に生育するセリは軟らかく、香りも濃厚でご馳走となる。周りにはオオバタネツケバナの小さなロゼットも見られる。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) ●湿生植物 セリ |
オオカサゴケ 人里に近い自然度の高い場所で見かける。西宮市内では今のところ未見。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) |
------------------------------------------------------ 6th. Feb. 2009 -------------------------------------------------- 西宮市内のカワモヅクsp. |
||
画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。 |
今年のカワモヅク sp. 渓流の底面に生えるカワモヅク sp.の様子を見に行ってきました。 毎年同じ場所に見られますが、なかなか正体がつかめません。この仲間は同定が難しく、時期がまだ早いのか嚢果をつけておらず同定するのはさらに困難です。 そういえば、この場所のものはまだ嚢果をつけたものは見たことがありません。 カワモヅクの仲間には雌雄異株のものもあり、たまたま雄株ばかりを見ているのかもしれませんが・・・ 比較的よく見られ似るものにチャイロカワモヅク(ナツノカワモヅク)(Batrachospermum arcuatum)があるのですが、それよりも藻体はやや細身の感じです。 藻体が褐色を帯びていますが、褐色を帯びるものとしては他にカワモヅク(Batrachospermum moniliforme)があるのでそちらかもしれません。 カワモヅクだとしたら雄株はなく、両性株と雌株しかありません。しかし、カワモヅクだとすると兵庫県RDB A種なのでそうやたらとありそうにはないし・・・ とにかく、継続観察が必要なのでしょう。 参考サイト:埼玉県産カワモズク属植物の観察 参考文献:『日本淡水藻類図鑑』 廣瀬弘幸・山岸高旺(編) 内田老鶴圃 |
------------------------------------------------------ 1st. Feb. 2009 -------------------------------------------------- 冬の溜池で |
||
画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。 |
ホソバノウナギツカミの越冬態 冬場の播磨周辺の溜池を見て廻りました。この時期の水辺といえばバードウォッチングがメジャーですが、冬期にも湿生・水生植物の観察はできます。 もちろん、大半の種が地上部を枯らして地下で越冬中ですが、中には常緑〜半常緑越冬するものもあり、岸辺には水草の殖芽が打ち上げられていたりします。 この日は オグラノフサモ の殖芽を探しにやって来たのですが、どうも見当違いの場所を探しているようで、結局見つけられませんでした。 この日見かけたのは マツモ や ガガブタ の殖芽ばかりでした。とある池畔では、ホソバノウナギツカミが小さな葉を紅葉させて越冬している姿を沢山見かけました。 図鑑ではホソバノウナギツカミは1年草とされていますが、西日本の低地では多年草として生育しているようです。 茎の上部は枯れて、小ぢんまりとした草体で基部から地上を這っていました。 夏場とは異なった小型の心形〜長卵形の葉を密生して、托葉鞘は茎下部を完全に覆って茎が直接寒気にさらされるのを防いでいるようです。 近くの用水路内には沈水状態で越冬するものも見られましたが、沈水状態のものは葉が披針形で細長いままでした。 他にはミジンコウキクサが溜池の片隅に、 ヒシ の種子とともに吹き寄せられていました。 ミジンコウキクサは冬期にはデンプンを蓄えた殖芽となって水底に沈んでいるはずなんですが、そのような様子はありませんでした。 また、山間にある溜池の流れ込みにある湿地では、 サワオグルマ が点々と新葉をあげつつありました。 棚田の斜面ではヒメウズが花茎を上げ、休耕田では冬期も生育して大きく葉を広げた キツネアザミ のロゼットが多数見られ、 春がすぐ近くまでやってきていることを実感させます。 ●湿生植物 ホソバノウナギツカミ |
|
ヒシの種子とともに吹き寄せられたミジンコウキクサ ミジンコウキクサはギネスブックにも載る世界最小の種子植物。冬期は殖芽となるはずだが、普通に生育している。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) |
地下の根茎から新葉を出したサワオグルマ 4月終わりには溜池畔の湿地や山間の休耕田で群生して開花し、見事な景観をつくる。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。) ●湿生植物 サワオグルマ |