西宮の湿生・水生植物


 フィールド・メモ


このページはトップページの 「水辺から、そして緑から…」 で紹介した記事のバックナンバーに、一部画像を追加し加筆したものです。

 2011年 4月

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春の花・その2
西宮市内ではソメイヨシノの花も多くが散ってしまい、標高の高い場所ではヤマザクラが満開となっています。 丹波地方ではオオタチツボスミレやヤマエンゴサク、イチリンソウ、ニリンソウの全盛期となり、オドリコソウやヤマブキ、コクサギなどが咲き始めています。 春の花のラッシュで、この時期はどこに行っても何がしかの花が見られ、楽しい季節です。 しかし、大方の花は全盛期は1週間程度で、あそこも行かなければ、ここにも行かなければと、気持ちは焦ります。 そんな訳で、前回からあまり間を置かずに更新しました。

満開のタチツボスミレ
Fig.1 満開のタチツボスミレ
社寺の斜面に生える大木の根元にタチツボスミレがかたまって開花していた。どこにでも見られる種だが、この花がかたまって咲く姿はやはり美しい。
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●関西の花 タチツボスミレ
オトメスミレ
Fig.2 オトメスミレ
オトメスミレはタチツボスミレの白花品で、距がわずかに淡紅紫色を帯びる品種。 山間にある谷池流入部の土砂が堆積した、増水すれば流されるような場所に多くの個体が散在していた。まだ咲き始めのようで、葉も小さい。
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タチツボスミレ山陰型
Fig.3 タチツボスミレ山陰型
兵庫県下ではタチツボスミレ山陰型とされるものが日本海側に限らず広く分布し、西宮市内でも見られるし、淡路島にも生育している。 山陰型は葉身基部が心形とならず、切形となる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 タチツボスミレ
オオタチツボスミレ群落
Fig.4 オオタチツボスミレ群落
丹波市の用水路脇の斜面にオオタチツボスミレが群落を形成していた。日当たりよい場所では見られず、ちょうど木々の陰となる場所だけにかたまって生育していた。 主に日本海側に生育する種だが、やや多雪な内陸部にもよく見られ、丹波地方では普通種である。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 オオタチツボスミレ
コスミレ
Fig.5 コスミレ
コスミレはこの時期、道端から畑地、水田の畦など、タチツボスミレやスミレとともに到るところで開花している。 花数も多く、群生する場所では紫色の強いものから、赤味を持つもの、白色のものまで現われモザイク状となって美しい。
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●関西の花 コスミレ
ノジスミレ
Fig.6 ノジスミレ
草地を好むが、畑地や畦で最も良く見る種で、葉柄には翼がほとんどなく、葉裏には毛が多い。 ノジスミレは密に群生している場面に出くわしたことがなく、広い範囲にわたって点在しているという印象が強い。
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●関西の花 ノジスミレ
アリアケスミレ
Fig.7 アリアケスミレ
西宮市内のウメ畑の林床でアリアケスミレが満開となっていた。 アリアケスミレも農耕地に多いが、多少湿った場所を好むようで、水田の畦や休耕田などでニョイスミレとともに出てくることも多い。
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●関西の花 アリアケスミレ
イヌナズナ
Fig.8 イヌナズナ
三田市の里山の田舎道でイヌナズナが生育していた。道端の溝と石垣のわずかな隙間に根をおろし、栄養がほとんどないためか、草丈は非常に小さい。 富栄養な環境では草体が大きくなるというが、未だに小さなものしか見ていない。
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●関西の花 イヌナズナ
ニリンソウ
Fig.9 ニリンソウ
丹波地方の山裾にはニリンソウが生育する場所が多い。 ニリンソウは土壌の大きな撹乱の少ない場所に見られることが多く、ニリンソウやヤマエンゴサクが出現すると面白い種が現れることが多い。
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●関西の花 ニリンソウ
イチリンソウ
Fig.10 イチリンソウ
丹波地方の果樹園に続く畑地の畦にイチリンソウが開花していた。イチリンソウも丹波地方に多いが、ニリンソウよりやや少ない。 生育環境もニリンソウと重なることが多く、混生する場所も多い。
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●関西の花 イチリンソウ
ヤマエンゴサク群落
Fig.11 ヤマエンゴサク(広義)群落
前々回に氷上低地のいち早く開花したヤマエンゴサクを取り上げたが、標高の高い篠山盆地でも開花が進み、満開の時期を向えていた。 この仲間の複葉は独特の形を持ち、美しい。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ヤマエンゴサク(広義)
ムラサキケマン
Fig.12 開花しはじめたムラサキケマン
ムラサキケマンは農耕地周辺に普通に見られる種であり、時に市街地にも現れることがある。 市内の住宅地の側溝にタネツケバナとともに沢山生育しているのを見たことがあった。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ムラサキケマン
オドリコソウ
Fig.13 開花しはじめたオドリコソウ
丹波地方の草地でオドリコソウの開花が始まっていた。オドリコソウは西宮市内には生育せず、比較的局所的に分布し、自生地では群生して個体数は多い。 丹波地方では畑地の畦、河川堤防、明るい林床などで群生が普通に見られる。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 オドリコソウ
ツルカノコソウ
Fig.14 ツルカノコソウ
丹波市の寺院裏手の山裾でツルカノコソウが開花していた。 ツルカノコソウは半日陰となるやや湿った場所に多く見られ、オオタチツボスミレやカテンソウ、ヤマルリソウなどとともに生育していることが多い。
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●関西の花 ツルカノコソウ
オオバタネツケバナ
Fig.15 オオバタネツケバナ
寺院の泉の水際でオオバタネツケバナが開花していた。渓流畔ではお馴染みの種で、県下に広く普通に見られる。 愛媛ではテイレギと称され、刺身のつまとして有用な山菜となっており、実際に美味しい野草である。
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●湿生植物 オオバタネツケバナ
タチタネツケバナ
Fig.16 タチタネツケバナ
タチタネツケバナも開花していた。タチタネツケバナは渓流畔というより、河原や谷筋の明るい崩壊地によく見られ、ときに溜池畔などにも現れる。
羽状裂葉の側小片基部付近に、托葉状の付属物がつくのが特徴で、画像でもそれが確認できる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 タチタネツケバナ
ムラサキサギゴケ
Fig.17 ムラサキサギゴケ
水田の畦でムラサキサギゴケが開花していた。同じく畦などでよく眼にするトキワハゼに似るが、花は大きく15mm以上、上唇の切れ込みが深くはっきりとして目立つ。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ムラサキサギゴケ
ヤマサギゴケ
Fig.18 ヤマサギゴケ
山間の渓流畔の河岸のえぐられた場所にヤマサギゴケが開花していた。 ヤマサギゴケはムラサキサギゴケの品種で、開花前からよく走出枝を出し、走出枝につく葉は小型で丸みを帯びる。丹波地方では半日陰〜陰地の水湿地によく見られる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
チャルメルソウ
Fig.19 チャルメルソウ
ヤマサギゴケの咲く渓流畔の岩上ではチャルメルソウの開花が始まっていた。 良く似たコチャルメルソウよりも花茎は長く、葉も大きいことが多いが、花は小さく、魚の骨を思わせる花弁の裂片の数もふつう少ない。
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●関西の花 チャルメルソウ
ミヤマハコベ
Fig.20 ミヤマハコベ
これもヤマサギゴケと同じ渓流畔に見られたもの。同様な生育環境にサワハコベも見られるが、丹波地方では開花期がもう少し先になる。 花は同属のウシハコベなどよりも大きく、この時期ではよく目立つ。
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●関西の花 ミヤマハコベ
コガネネコノメソウ
Fig.21 山間里山に咲くコガネネコノメソウ
山深い丹波地方の里山にある小河川の河畔ではコガネネコノメソウが満開を向えていた。 前々回には開花したばかりの個体を紹介したが、この頃になると花茎は直立し、走出枝は広がって地表を覆うようになる。
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●関西の花 コガネネコノメソウ
ヒトリシズカ
Fig.22 ヒトリシズカ
夕闇の中、まだ芽吹いていない見通しのよい雑木林の林床に、白く浮かび上がる花らしきものが見えた。 イノシシ除けの柵を跨いで近寄ると林床にはヒトリシズカがあちこちに点在していた。 フタリシズカはよく見かけるが、ヒトリシズカはより眼にする機会は少なく、丹波地方では記録も少ない。 周辺にはイチリンソウ、ヤマエンゴサク、アマナ、エビネなどが見られ、古い土壌が残されている場所であると考えられる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ヒトリシズカ
コゴミ
Fig.23 クサソテツの出芽
丹波地方の山間ではあちこちでクサソテツが出芽していた。 クサソテツは優秀な山菜で、生食できるほどアクやクセがほとんどなく、サッと煮てすぐに冷やしてゴマだれやマヨネーズをつけて食すと特有のぬめりもあり大変美味である。
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●湿生植物 クサソテツ
チャセンシダ
Fig.24 里山の石垣に生育するチャセンシダ
西宮市内の里山の石垣にチャセンシダが生育していた。これまで西宮市内での記録はなかったが、どこかにあるだろうと探していた。 たまたまクルマで通りがかった道に苔むした怪しい石垣があったので、徐行しながらよく見てみると、石垣の隙間にかなり多くの個体が見つかった。
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●関西の花 チャセンシダ
ニシノホンモンジスゲの開花
Fig.25 開花中のニシノホンモンジスゲ
ふつうスゲ属は開花中に同定するものではないが、さすがにこの種は見慣れていることもあって、ニシノホンモンジスゲであることがわかる。
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●関西のスゲ ニシノホンモンジスゲ
開花中のアゼスゲ
Fig.26 開花中のアゼスゲ
こちらもよく見慣れた種。農道上で踏み付けに遭ってシバ状に矮小化した集団が開花していた。アゼスゲの雌花部は黒紫色で美しい。
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●湿生植物 アゼスゲ
コクサギ雄花
Fig.27 コクサギ雄花
コクサギは雌雄異株で、これは雄花。花弁は4個で、雄蕊は花弁と互生して4個つく。葉の付き方に特徴があり、2枚おきに互生し、コクサギ型葉序と呼ばれることがある。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
開花したヤマブキ
Fig.28 開花したヤマブキ
丹波地方はヤマブキが多い地域である。木々が芽吹いたばかりの山麓に黄色い花を沢山つけた姿はよく目立つ。
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春の花
ソメイヨシノも満開となり、春本番となりました。 早春の里山に絨毯のように開花していたセツブンソウの花もすっかり終り、2個の袋果をつけています。
かわって各種スミレ類やタンポポやミツバツチグリ、キジムシロなどの畦畔〜草原性植物が開花しはじめました。
今回から、画像は少なくなりますが、ちょっと早いペースでフィールド・メモを更新していきたいと思います。

満開のタムシバ
Fig.1 満開のタムシバ
六甲山系の北側斜面ではタムシバが満開となっていた。西宮市内の観音山や船坂周辺ではタムシバが特に多く、画像のような光景が見られる。 よく知られたコブシにそっくりであるが、当地にはコブシは分布せず、すべてタムシバである。 兵庫県下にはコブシがわずかに見られる場所もあるが、植栽されたものではないかといわれている。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
アケボノアセビ
Fig.2 アケボノアセビ
雑木林の林縁にアケボノアセビが花をたわわにつけていた。 アケボノアセビはよく見られるアセビの花が淡紅色となる品種で、当地では六甲山系で点々と生育している。 開花しはじめの花が特に紅色味が強くなり、美しい。そのため、別品種のベニバナアセビとともに、庭園などに植栽されることも多い。
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モモイロキランソウの生育状態
Fig.3 モモイロキランソウの生育状態
西宮市内の山麓の棚田では、今年もモモイロキランソウの開花が見られた。 前年は5個体確認したのみだったが、近くの新たに撹乱された半裸地状の場所に6個体殖えていた。 画像はその生育状況で、右のものは昨年は小さな株であったが、かなり大きくなっており、左のものは昨年には見られなかったものである。 開花している黄色の花はヘビイチゴ、葉幅の広いイネ科植物はイヌムギ、細い葉はナギナタガヤ。 モモイロキランソウは開花が終わると、これらのイネ科植物の陰に隠れて見えなくなる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 キランソウ(モモイロキランソウ含む)
モモイロキランソウの花
Fig.4 モモイロキランソウの花
モモイロキランソウの花は普通のキランソウを見慣れた眼には新鮮で、美しく感じられてしまう。 こう感じてしまうのは、モモイロキランソウの稀少性によるもので、キランソウも稀な種であったとしたらかなり花の美しい種であると感じるだろう。 モモイロキランソウは道路に挟まれた一画にのみ見られ、道を隔てた棚田や雑木林ではキランソウばかりとなる。
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シハイスミレ
Fig.5 シハイスミレ
刈り込みされたネザサ主体の溜池土堤でシハイスミレの開花が始まっていた。咲きはじめのため、葉はまだ大変小さい。
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●関西の花 シハイスミレ
ニョイスミレ
Fig.6 ニョイスミレ (ツボスミレ)
湿地や溜池が点在する里山の草地の広場でニョイスミレが開花していた。 ニョイスミレやその変種群であるアギスミレ、ヒメアギスミレなどはスミレ属の中では最も開花の遅い一群であるが、ここは南に開けた日溜りとなっていて暖かいのか、 早くも開花していた。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ニョイスミレ (ツボスミレ)
オオタチツボスミレ
Fig.7 オオタチツボスミレ
三田市の里山の社寺脇の用水路に接した道端草地に、オオタチツボスミレが開花していた。 オオタチツボスミレは西宮市内には見られず、丹波地方以北では普通に生育するが、三田市を含む摂津地方では、これまで記録のなかった種である。 オオタチツボスミレは湿潤で、やや半日陰となるような場所を好むが、ここも社叢林の陰となるような用水路脇の湿潤な草地で、数個体が生育している。 社叢林内に湿った場所にも生育が見られたが小さな個体が多く、あまり暗い場所は好まないようである。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 オオタチツボスミレ
トウダイグサ
Fig.8 トウダイグサ
三田市の畑地の畦で久々にトウダイグサを見た。トウダイグサは神戸より西側では比較的見かけるが、私のよく出掛けるフィールド内ではあまり見かけない。 西宮市内では標本も採られておらず、生育を確認できていない。
トウダイグサ属にはタカトウダイやノウルシなどの湿生植物があり、タカトウダイは西宮市内に記録があるが、現在生育を確認できない。
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●関西の花 トウダイグサ
ミツバツチグリ
Fig.9 ミツバツチグリ
野焼きされた溜池土堤でミツバツチグリが開花し始めていた。野焼きされてからあまり日が経っていないようで、葉は小さく枚数も少ない。 この土堤ではヒカゲスゲの大株が多く、ミツバツチグリと同様、新葉がわずかに伸びた状態で、沢山の花茎をあげて開花していた。 (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ミツバツチグリ
開花したミヤコアオイ
Fig.10 開花したミヤコアオイ
三田市のミヤコアオイ自生地ではようやく開花が見られた。今年は私のよく出掛けるフィールドではどこでも開花が遅れていた。 兵庫県下ではカンアオイ属の他のものにヒメカンアオイ、ナンカイアオイ、アツミカンアオイが見られるが、ミヤコアオイは萼筒口部がいちじるしくくびれ、 そのため萼筒内部が見えない点で区別が容易である。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ミヤコアオイ
レンプクソウ
Fig.10 レンプクソウ
丹波地方の山麓のクリ園跡でレンプクソウの開花が始まっていた。兵庫県下ではレンプクソウの自生地は少なく、兵庫県版RDBではBランクとされている。 ここではイチリンソウ、アズマイチゲ、オドリコソウなどと混生しているが、アズマイチゲが咲き終わるころに開花全盛となるようである。 また付近のカタクリの開花期と一致するようだ。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 レンプクソウ
カタクリ
Fig.11 カタクリ群落
4月6日、丹波地方では有名なカタクリ自生地の様子を見にでかけた。多くの開花が見られたが、ツボミの個体も多く、しばらくは開花が楽しめるだろう。 この自生地はかつてシカの食害によって大きな打撃を受けたが、自生地全体をシカ除けの柵で囲んで管理されるようになって、今では林床一面にカタクリが群生している。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 カタクリ
キクザキイチゲ
Fig.12 キクザキイチゲ
丹波地方の谷津最奥にある棚田の畦にキクザキイチゲが開花していた。前回も取り上げた種であるが、こちらのものは白花品である。 キクザイイチゲは普通、明るい林下に生育するが、ここでは北向きの棚田斜面に群生が見られ、丹波地方で見られる生育環境としては珍しい。 ここでは他にセツブンソウ、ニリンソウ、イチリンソウ、キバナノアマナ、ラショウモンカズラ、出始めたフキノトウ、用水路脇にはワサビが見られた。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 キクザキイチゲ
アブラチャンの雄花
Fig.13 アブラチャン
キクザキイチゲが開花していた棚田脇の山腹ではアブラチャンが沢山開花していた。 アブラチャンは早春に開花する落葉低木で、西宮市内では花が終わりつつあるが、ここではセツブンソウの花被もまだ残っており、丹波地方でも春遅い場所である。 アブラチャンは雌雄異株で、画像のものは雄蕊が9個見られる雄花である。 ダンコウバイの花に似るが、ダンコウバイの花序の柄は短く枝に直接花序がついているように見えるが、アブラチャンでは花序の柄が長く明瞭で、 樹形は根元から叢生して株立ちとなる点で区別できる。
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