西宮の湿生・水生植物


 フィールド・メモ


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 2011年 8月

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琵琶湖とその周辺
少し時期は早いかとも思いながらも同好のMさんとともに、琵琶湖湖西〜湖北の湖岸と里山に水草や湿生植物の観察に行ってきました。 湖岸近くの毎回訪ねる水田ではアゼトウガラシ、エダウチスズメノトウガラシの開花が始まったばかりで、やはり今年は開花が少し遅れています。 マルバノサワトウガラシの開花を狙っていましたが、時期尚早でした。 湖岸では打ち寄せられた切れ藻を見て廻りましたが、ヒロハノセンニンモらしきものはありましたが、サンネンモは見つかりませんでした。 個人的に私が琵琶湖と聞いてスグに連想するのはネジレモ、ヒロハノエビモ、ナガタニシ、ビワヒガイなんですが、今回は水中に潜る準備が充分に出来なかったため、 ナガタニシやビワヒガイはみることができませんでした。 また、今回は久しぶりにナガバノウナギツカミの群生地でじっくりとナガバノウナギツカミを観察したいと思っていましたが、遷移が進んだのかヨシによって過去の自生地が覆われて、 1個体も生育が確認できず、消滅してしまったようです。 ナガバノウナギツカミの生育地はヨシの生育する水辺環境と一致し、ヨシの生育地を定期的に撹乱しなければ生育継続は難しいと考えられます。 この他、山麓の水田の減反地では生育途上のミズキカシグサを発見しました。滋賀県の2008年のRDBでは絶滅種となっており、今回のものは再発見ということになるかもしれません。
一部の記述は変更しています。

コウホネ群落
Fig.1 コウホネ群落
琵琶湖沿岸では河川河口部や内湖にコウホネの群落がよく見られる。 サイコクヒメコウホネも見られるが、水路内に所々に生育しているに過ぎない。 湖岸の河川河口部は水深の深い場所も多く、そのような場所に生育するものは長い沈水葉がよく発達している。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●抽水植物 コウホネ
トチカガミ
Fig.2 トチカガミ
トチカガミは平地の富栄養な湖沼や溜池・水路などに生育するが、平地のそのような場所は埋立や改修に遭うことが多く、全国的に減少傾向にある。 兵庫県下では過去には多数の記録があるが、現在ではほとんど見ることができない。琵琶湖ではまだ安定して見ることができ、特に波静かな港のような内湾に生育していることが多い。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●浮葉植物 トチカガミ
フサタヌキモ
Fig.3 開花全盛期のフサタヌキモ
フサタヌキモもトチカガミと同様な場所に生育する。したがって同じように減少傾向が強く、多くの地域で絶滅し、現在では全国に数ヶ所しか自生地がなく、 環境省絶滅危惧TB類(EN)に指定されている。今回は水田雑草の開花には早かったが、フサタヌキモはちょうど開花全盛期で、沢山の花が迎えてくれた。 フサタヌキモは閉鎖花をよくつけるものの、開花を見ることは少ないというが、ここのものはよく開花することで知られている。
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●浮遊植物 フサタヌキモ
オオトリゲモとネジレモ
Fig.4 オオトリゲモとネジレモ
湖岸の浅瀬のヨシの枯死した根茎の塊の周辺にオオトリゲモとネジレモがはりつくように生育していた。 オオトリゲモは兵庫県では平野部の溜池でよく見かけるが、兵庫の溜池のものは草体が大きい。 琵琶湖のものはより小型で葉の反りも目立つが、これは風によって湖面に生じる波濤に対して適応したためではないかと考えている。 ネジレモは琵琶湖固有種であるが、琵琶湖では全域でごく普通に見かける種である。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●沈水植物 オオトリゲモ  ●沈水植物 ネジレモ
Potamogetonの切れ藻
Fig.5 湖岸に打ち寄せられたPotamogetonの仲間
A:ヒロハノエビモ、B:オオササエビモ 左はサンネンモ、右はオオササエビモ、C:センニンモ、D:ヒロハノセンニンモらしきもの、E:ササバモ。 これ以外にヤナギモ、エビモが見られたがサンネンモやツツイトモは見つからなかった。他にPotamogetonではないが、イバラモがごくわずかに見られた。 イバラモは果実期にならないと節が脆くならないので数少ないのだろう。おそらくまだ開花期であるはずである。 イバラモといえば以前、果実となるはずのものが、葉腋に殖芽が形成されているものが今は閉鎖された掲示板で報告されていた。 一度、是非実物を観察してみたいものである。 全般にイバラモ科の水草はこれから開花・結実するため、この時期に湖岸に打ち上げられていることは少ない。(更新9/2)
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●沈水植物 センニンモ  ●沈水植物 サンネンモ および交雑個体
●浮葉〜沈水植物 ササバモ  ●沈水植物 ヒロハノエビモ
●沈水植物 オオササエビモ
バイカモ
Fig.6 バイカモ
湖西の扇状地の端には湧水地が数多くあり、そのような場所では水路や河川内に湧水が多く、バイカモ、沈水形のナガエミクリ、ミズハコベ、センニンモ、ササバモ、オヒルムシロなどが生育する。 湧水が半分以上を占める水路や河川では水温が一定するため通年開花し、厳冬期の2月でもバイカモの美しい開花が見れるという。 この場所もバイカモ自生地としてすっかり有名になってしまい、1000円を払ってガイドとともに見て廻るというシステムとなっているようで、 あちこちにそれを告知する看板が立っていて、自由に観察しづらくなってしまった。 しかし、自生地の管理・保護を考えると、それもやむをえないことと思う。
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●沈水植物 バイカモ
ウキゴケ(カヅノゴケ)
Fig.7 ウキゴケ(カヅノゴケ)複合種
湧水の流入する側溝壁面の水中にウキゴケが生育していた。 ウキゴケは国内では少なくともRiiccia fluitansとR. stenophyllaが分布し、これらの種は腹鱗片が1列で外見上での区別は非常に難しい。 さらに国外では腹鱗片が2列の酷似種があり、これらの種を含めてウキゴケ複合種として扱うことが提唱されている(秋山 1998)。 画像のものは湧水の多い側溝に生育しているもので、狭義ウキゴケ(R. fluitans)である可能性が高い。
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●湿生〜沈水〜浮遊植物 ウキゴケ複合種
ミクリ
Fig.8 開花中のミクリ
琵琶湖沿岸の小河川の河畔にミクリが開花していた。 すでに多くの個体の雄花は脱落し果実が形成されていたが、咲き遅れたものが点々と開花していた。 ミクリ科のものは区別が難しいものが多いが、ミクリは花序の分枝が多く、それぞれの枝の上部に雄花群がつき、下部に雌花がつくことにより区別は容易である。 琵琶湖沿岸ではミクリとナガエミクリがときに同所的に現われるが、ナガエミクリは湧水の多い河川や水路で沈水形をとることが多く、ミクリは河口付近に抽水状態で群生することが多い。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●抽水植物 ミクリ
ゴキヅルとオオマルバノホロシ
Fig.9 競争するゴキヅルとオオマルバノホロシ
Fig.8のミクリが生育する河畔であるが、種組成は単純でミクリのほかはイネ科のヨシ、クサヨシ、ドジョウツナギ、つる性草本のゴキヅル、匍匐性のオオマルバノホロシからなる。 ミクリやヨシは流れの緩やかな場所で抽水状態で群落をつくることが多いが、クサヨシ、ドジョウツナギは成長期・開花期ともに競合し、クサヨシは水際、ドジョウツナギは河畔陸上に勢力を2分する。 しかし、ゴキヅルとオオマルバノホロシは生育場所が完全に重複しているようで、パッチ状にそれぞれ群生しつつ、境界ではせめぎあいが見られる。 ここではオオマルバノホロシはオオニジュウヤホシテントウの食害が激しく、ゴキヅルがやや優勢であった。
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●湿生植物 ゴキヅル  ●湿生植物 オオマルバノホロシ
湖岸の外来水生植物群落
Fig.10 湖岸の外来水生植物群落
琵琶湖は水辺環境としてはまだまだ多くの自然度の高い場所が数多く残っている場所だが、場所によっては外来種が植物群落を形成している例もある。 ここは湖岸の漁港の出入り口の水域をテトラポットで仕切ってフェアウェイを造っている場所であるが、その外側の水の停滞する場所に繁殖力旺盛な外来種が定着して群落を形成している。 画像は手前が浅水域となっておりチクゴスズメノヒエが優占し、その外側にはホテイアオイが密生する。その外周に見える赤紫色の部分はアイオオアカウキクサが水面を密に覆っている。 在来種ではわずかに水際にドクゼリが、ホテイアオイに囲みこまれるように花のないトチカガミが生育していた。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
ヒメナミキ
Fig.11 ヒメナミキ
ヒメナミキは花も小さく目立たない本草であるが、これも全国規模で減少傾向にあり、多くの地域で絶滅危惧種となっている。 毎年生育を確認している場所であるが、生育規模は年々小さくなっている。 同じ場所には数年前までナガバノウナギツカミの大群生があったが、完全に消失してしまった。 こういった湿生植物は生育箇所が限られ生育基盤が脆弱なものが多く、一度圧力がかかると容易に姿を消してしてしまう。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ヒメナミキ
イヌゴマ
Fig.12 イヌゴマ
湖岸ではあちこちでイヌゴマが満開だった。 琵琶湖にはエゾイヌゴマも見られるので、イヌゴマを見かける度、茎に剛毛がないか注意して見ていたが、今回は発見できなかった。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 イヌゴマ
水田中のフタバムグラ
Fig.13 水田で沈水状態のフタバムグラ
フタバムグラは溜池や水田に生育するアカネ科の草本で、水位変動にもよく適応しており、沈水状態でもよく生育する。 沈水状態で生育しているものは、陸上のものと比べて葉が微妙に異なるが、これを異形葉(いわゆる沈水葉)としてよいか、これもまた微妙なところだ。
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●湿生植物 フタバムグラ
沈水状態のシソクサ
Fig.14 沈水状態のシソクサ
シソクサはフタバムグラと違って、陸生するものと沈水状態のものとでは明らかに葉の形状が異なり、陸生では対生する葉が、水中では輪生することも多い。 沈水形のシソクサは美しく涼しげな風情もあるため、水草として育てている人も多い。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 シソクサ
サワトウガラシ
Fig.15 サワトウガラシ
山麓棚田の減反地でサワトウガラシが密生して、開花が始まっていた。 サワトウガラシは溜池や水田に生育するが、サワトウガラシが生育する水田は自然度が高いとみなしてもよい。 このような水田ではよく探すとミズマツバ、アブノメ、シソクサ、ホシクサ、ミズワラビ、ヒメミソハギ、マルバノサワトウガラシ、タウコギなどの稀少な水田雑草が見つかることが多い。 ここでは次に挙げるミズキカシグサが生育していた。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 サワトウガラシ
ミズキカシグサ
Fig.16 成長途上のミズキカシグサ
ミズキカシグサは九州南部では比較的よく見られるようだが、全国的に稀な種であり、環境省絶滅危惧U類(VU)に指定されており、絶滅した地域も多い。 滋賀県での現状は把握していないが、2008年に更新された滋賀県自然環境保全課HPのRDB2000によると絶滅種となっており、場合によっては再発見したことになる。 ここでは水田内の減反地のサワトウガラシ群落中にアゼトウガラシ、マツバイ、ミゾハコベ、アゼナ、ヒメミソハギ、イヌホタルイなどとともに生育していた。
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●湿生植物 ミズキカシグサ

 ------- 写真帳 2011・8・18 -----------------------------------------------------------------------------------------
側溝内の水草
Fig.17 側溝内の水草
バイカモ、ナガエミクリ、ウキゴケ、ミズハコベ。
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バイカモの花
Fig.18 バイカモの花
側溝に咲く。
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●沈水植物 バイカモ
ウリクサとコケオトギリ
Fig.19 ウリクサとコケオトギリ
地下水位の高い寺院境内にて。
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●湿生植物 ウリクサ  ●湿生植物 コケオトギリ
ミクリ群落
Fig.20 ミクリ群落
河畔に抽水状態で群落をつくる。
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●抽水植物 ミクリ
ミズワラビ
Fig.21 ミズワラビ
休耕田にて。
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●湿生植物 ミズワラビ
ヒメミソハギ
Fig.22 ヒメミソハギ
減反地で多数の個体が生育。
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●湿生植物 ヒメミソハギ
メリケンムグラ
Fig.23 メリケンムグラ
外来種。湖岸の砂浜に進出。
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●湿生植物 メリケンムグラ
ホソバツルノゲイトウ
Fig.24 ホソバツルノゲイトウ
外来種。内湖畔にコシロネとともに生育。
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●湿生植物 ホソバツルノゲイトウ
コウホネ
Fig.25 コウホネ
小河川の淀みに生育。
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●抽水植物 コウホネ
ヒシ・フサタヌキモ群落
Fig.26 ヒシ・フサタヌキモ群落
今年はアイオオアカウキクサの発生が少なかった。
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●浮葉植物 ヒシ  ●浮遊植物 フサタヌキモ
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溜池・湿地・草地・淡路島
猛暑の日々が続き、調査や観察に難儀しますが、水辺がらみだと気分だけでも涼しくなれるのが救いでしょうか。
今回は溜池や湿地とその周辺の草地の植物のほか、淡路島の調査の際に見かけたシカの不嗜好・忌避植物についてのメモです。

溜池のガガブタ
Fig.1 溜池のガガブタ
播磨地方の平野部の溜池ではあちこちでガガブタが開花中です。 ガガブタは国内の多くの都府県で絶滅危惧種に指定されている。 しかし、兵庫県では溜池数が多いため自生地が多く、特に播磨地方ではふつうに見られ、絶滅危惧種に指定されていない。 主に中栄養〜やや富栄養な水質を好むため、山間の溜池より平野部でみられることが多い。
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●浮葉植物 ガガブタ
ヒメシロアサザ
Fig.2 ヒメシロアサザ
兵庫県下ではかつて西播磨からの記録があるが、現在は淡路島の数ヶ所で見られるのみとなっており、兵庫県版RDBではAランクに指定されている。 調査時は残念ながら自生地の溜池はどこも満水状態で、全く確認できず、わずかに水田内の素掘りの排水路内に画像の1株のみが確認できた。 水位が高いと発芽しないようで、その点はマルバオモダカに似ているようである。 開花は午前中で、調査時は午後遅くであったため開花は見られず、つぼみがいくつか確認できた。
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マルバオモダカ
Fig.3 マルバオモダカ
今年は降雨が多かったためかマルバオモダカが生育する溜池はいまだに満水状態のところが多く、少数の個体が浮葉をあげている程度である。 画像の場所は溜池跡にできた湿地で、細流周辺にマルバオモダカが群生しており、はやくも開花が始まっていた。 ここではヒツジグサやフトヒルムシロが同様な環境で生育しているが開花は見られない。 以前は同様な状態でジュンサイも見られたが、水位が浅すぎるためか消失してしまった。 湿地にはイヌシカクイ、イヌノハナヒゲ、シロイヌノヒゲが密生し、やや貧栄養であると考えられ、ヤマトミクリ、オニスゲ、カキラン、開花前のハタベカンガレイらしきものが生育している。
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●浮葉植物 マルバオモダカ
サイコクヒメコウホネとジュンサイ群落
Fig.4 サイコクヒメコウホネ−ジュンサイ群落
播磨地方にある道路脇にある溜池だが、サイコクヒメコウホネ、ジュンサイ、ヒツジグサ、ヒルムシロ、ヒシがパッチ状に浮葉植物群落を形成しており、素晴らしい溜池である。 浅水域ではカンガレイ、クログワイ、ホソバノウナギツカミが群生し、ヘラオモダカ、スブタ、ホッスモなど豊富な植生が見られた。 サイコクヒメコウホネはこのような抽水葉のない状態ではオグラコウホネと紛らわしいが、サイコクヒメコウホネは柱頭がいびつなものが多く、オグラコウホネは花弁が赤味を帯びることにより区別できる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●浮葉植物 サイコクヒメコウホネ  ●浮葉植物 ジュンサイ
トラノハナヒゲ
Fig.5 トラノハナヒゲ
トラノハナヒゲは沿岸部の湿地など、日当たりよい湿った場所に生育するカヤツリグサ科ミカヅキグサ属の多年性草本で、南方系の種であり県南部に少数の自生地があり、 兵庫県版RDBではBランクとされている。 画像のものは海の見える棚田上部の旧畑作地脇の斜面草地の下部、チガヤなどがまばらに生育する粘土質の小規模な半裸地で、コケオトギリ、アリノトウグサ、ヤマイなどとともに生育していた。 このような場所はノグサ、イガクサ、コモウセンゴケ、ヤマトキソウなどが好む環境と同様である。
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●湿生植物 トラノハナヒゲ
ミカヅキグサ
Fig.6 ミカヅキグサ
ミカヅキグサは自然度の高い貧栄養な湿地に生育し、国内ではふつう高層湿原に生育するが、兵庫県南部の低湿地では遺存的に隔離分布する。 したがってミカヅキグサの生育する湿地はかなり成立が古いものだといえる。 このような湿地ではカキラン、トキソウ、サギソウ、コバノトンボソウ、マネキシンジュガヤ、カガシラ、ヒナノカンザシ、ムラサキミミカキグサなどの稀少種が出現することが多い。 ミカヅキグサは湿地内のあまり滞水がなく、浅い表水がゆるやかに流れるような場所に生育する。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ミカヅキグサ
ヒロハノドジョウツナギ
Fig.7 ヒロハノドジョウツナギ
本種は西日本ではやや高標高地の清水が流れ込み、砂が堆積するような日当たり良い水湿地に生育し、兵庫県下では自生地が非常に限られ、確実な産地は2ヶ所しかなく、 兵庫県版RDBではAランクとされている。 よく見かけるドジョウツナギと比べると茎ははるかに太く、花序枝はよく分枝して沢山の小穂をつける。 ヒロハノドジョウツナギとドジョウツナギの雑種にマンゴクドジョウツナギがあり、兵庫県下でも比較的産地が多く、これは古くはヒロハノドジョウツナギが広く分布していたことを示している。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ヒロハノドジョウツナギ
ウキシバ
Fig.8 ウキシバ
播磨地方の溜池ではウキシバが水中から茎を立ち上げ花序を出し始めていた。 アシカキとともに播磨地方でよく見かける種であるが、アシカキが中〜富栄養な溜池に見られるのに対して、ウキシバはやや貧栄養〜中栄養な溜池に生育する。 したがって平野部にはアシカキが多く、丘陵部ではウキシバが多く見られる傾向があるが、自生地はウキシバのほうが少ない。 近年では外来種のチクゴスズメノヒエやキシュウスズメノヒエの侵入により、両在来種ともに減少しつつある。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ウキシバ
アキノウナギツカミ
Fig.9 開花したアキノウナギツカミ
秋の水辺に開花するタデのうちでもホソバノウナギツカミに次いで早い時期から開花する種であり、本種が出現する水辺はやや自然度の高い場所だと考えており、 里山の用水路脇、溜池畔、ときに休耕田などに現われる。
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●湿生植物 アキノウナギツカミ
アオタチカモメヅル
Fig.10 アオタチカモメヅル
本種はタチカモメヅルの黄白花の品種である。タチカモメヅルの個体数が多い溜池土堤に1個体のみ生育していた。 画像のものは副花冠がやや紫褐色を帯びており、タチカモメヅルとアオタチカモメヅルとの中間的な個体といえるかもしれない。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 タチカモメヅル
ヒキヨモギ
Fig.11 ヒキヨモギ
播磨地方にある溜池土堤の刈り込まれたネザサ群落中にヒキヨモギが群生していた。 他県では草原環境の減少とともに姿を消しつつあるようだが、兵庫県下では時折見かける。 私の場合は溜池に行くことが多いので、いつも溜池土堤で見るが、この土堤ではとりわけ個体数が多かった。 半寄生植物であるとされるが、周囲の状況からして、ここではネザサを宿主としていると思われる。
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●関西の花 ヒキヨモギ
オオヒキヨモギ
Fig.12 オオヒキヨモギ
ヒキヨモギは草原環境に生育するが、オオヒキヨモギは画像のように岩場や崩壊地などに生育していることが多い。 良好な草地環境の少ない西宮市内ではヒキヨモギは生育していないが、オオヒキヨモギは生育適地である花崗岩の崩壊地が多いためあちこちでよく見かける。 また、市内北部の流紋岩質凝灰岩の岩場では垂れ下がるようにして生育し、コンクリートの道路法面に生育していることもある。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 オオヒキヨモギ
キキョウ
Fig.13 キキョウ
秋の七草のひとつであるキキョウは環境省絶滅危惧U類で42都道府県で絶滅危惧種となっているが、兵庫県下ではヒキヨモギ同様見かける機会の多い種である。 そうはいってもやはり管理が行き届き、かつ自然度の高い草地環境でしか見られず、キキョウが出現する場所では多様な植生が見られる。 ここではタカトウダイの群生が見られた。 あまり盗掘の跡を見ないのは、草刈りされたネザサの根茎が厚い層をなして手軽に掘り取ることができないためだろう。
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●関西の花 キキョウ
ヒナギキョウの花
Fig.14 ヒナギキョウの花
ヒナギキョウはキキョウ科であるが、花はキキョウよりもはるかに小さくニワゼキショウ程度で、花茎は細くて弱々しく、群生しないため目立たず、足元に生えていても気付かずに通り過ぎる人も多い。 県下では南に行くほど多く見られ、初夏から晩秋にかけての長い期間開花する。 溜池土堤、棚田の土手、河川堤防などの刈り込みされる草地によく見られ、画像のものはFig.12のキキョウやカナビキソウ、アリノトウグサ、ニガナなどとともに溜池土堤に生育していたものである。
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●関西の花 ヒナギキョウ
ナツフジ
Fig.15 溜池土堤のナツフジ
ナツフジは林縁や草地に生育するつる性植物で、花のない時はフジとの区別がやや難しい。 里山の溜池土堤での出現頻度は非常に高いが、多くは頻繁な草刈りに遭い、開花を見ることは少ない。 年1回程度の草刈りが行われ、ススキ・チガヤ主体の土堤でのみ開花が見られ、ネザサ主体の場所では開花しているのをほとんど見ない。 ネザサは密に群生して、ナツフジよりも生育速度が速いといった理由が仮説として予想されるが、詳しく調べたことはない。 人為的に管理される草原環境は草刈りの回数や時期によって開花や生育が限定される。
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●関西の花 ナツフジ
オニユリ
Fig.16 オニユリ
溜池土堤でオニユリが開花しており、水面をバックに花が引き立つ画像が撮影できた。 オニユリは史前帰化植物とされ、里山では溜池土堤よりも河川堤防で見ることが多い。 また古くからミソハギなどとともに墓所に添えられたのか墓地周辺に多く見みかける。 墓地のものは献花されたものからムカゴが落ちて生育したものだろう。 河川堤防には同様なユリ科の史前帰化植物であるヤブカンゾウもよく群生していることがある。 両種とも食用となることから我々の先祖である渡来人により持ち込まれ、氾濫によって生じた自然堤防などの草地に植えたものが広がったのではないだろうか。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 オニユリ
ヒオウギ群落
Fig.17 ヒオウギ群落
前回は但馬の海岸草地に生育するヒオウギを取り上げたが、今回は淡路島で見られた群落である。 山腹の林縁草地に大群生しているが、これはシカが食べないことによって形成された群落である。 周囲の草地は全てハスノハカズラか特定外来種のナルトアワギクで両種ともシカの忌避植物としてよく知られている。 ヒオウギはさらに植生の乏しい場所では葉先の2/3ぐらいが全て食害に遭っていたため不嗜好植物といったとこだろうか。 淡路島はもともとヒオウギの多い場所だが、シカによってさらに殖えることになったようだ。
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●関西の花 ヒオウギ
ハスノハカズラ
Fig.18 ハスノハカズラ
ハスノハカズラは海岸近くに生えるツヅラフジ科のつる性草本で、葉柄が葉身に楯状につくのが特徴で、雌雄異株である。 兵庫県下では淡路島でよく見られるが、他の地域では全く見かけない。過去に伊丹市に記録があるようだが、現在も生育しているかどうかは不明である。 淡路島ではシカの忌避植物であるためあちこちに広がっているようである。
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●関西の花 ハスノハカズラ
ナチシダ
Fig.19 ナチシダ
ナチシダは亜熱帯〜熱帯にかけて広く分布する南方系のシダで、兵庫県下では淡路島や播磨・丹波地方に局所的に生育するため兵庫県版RDBではBランクとされている。 以前はAランクとされていたが、シカの忌避植物であるため殖える傾向にあり、ランクが落とされた。 シダの仲間にはシカが食べないために個体数や自生地が増えている種がいくつか見られる。 県北部で見られるシラネワラビはCランクとされるがシカの不嗜好植物であるため個体数は増えつつある。 イワヒメワラビ、コバノイシカグマ、オオバノイノモトソウはシカの忌避植物としてよく知られている。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ナチシダ
マルミノヤマゴボウ
Fig.20 マルミノヤマゴボウ
ヤマゴボウの仲間もシカの忌避植物として知られる。 マルミノヤマゴボウは荒野でよく見かける外来種のヨウシュヤマゴボウとは違って在来種であるが、受粉後の花は強く紅紫色を帯びて目立ち、初めて出会った時は外来種かと思ったほどだ。 画像の個体があった周辺はシカの食害が激しく、シカの忌避植物である稀少種モロコシソウ(Aランク)、ミミガタテンナンショウ(Aランク)が生育していたほか、オモト、ナガバヤブマオ、オオバノイノモトソウ、オニルリソウ、 イズセンリョウ、ナルトサワギク、ヒメクラマゴケなどのシカの忌避植物、コケトウバナ、チドメグサ、アワゴケ、トキンソウ、ホトトギスsp.幼苗などシカが食しにくい小型の草本が生育している。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)

 ------- 写真帳 2011・7・31 - 8・15 ------------------------------------------------------------------------------------
ヒオウギの花
Fig.21 ヒオウギの花
花被の基部に蜜が光っていたが、画像には写らなかった。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ヒオウギ
ミミガタテンナンショウの果実
Fig.22 ミミガタテンナンショウの果実
身近のフィールドのテンナンショウ類にくらべ果実が大きい。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ミミガタテンナンショウ
コガンピ群落
Fig.23 溜池土堤のコガンピ群落
良好な草地環境の指標となる。
(画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 コガンピ
タカトウダイ群落
Fig.24 溜池土堤のタカトウダイ群落
Fig.13,14のキキョウが生育する溜池土堤に群生。
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●関西の花 タカトウダイ
イトハナビテンツキ群落
Fig.25 溜池土堤のイトハナビテンツキ群落
イトハナビテンツキが生えている場所は面白い種が出現する。
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●湿生植物 イトハナビテンツキ
溜池畔の貧栄養湿地
Fig.26 溜池畔の貧栄養湿地
手前はヒメヒラテンツキ、イヌノハナヒゲ群落、奥はカモノハシ群落。
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ホザキノミミカキグサ
Fig.27 ホザキノミミカキグサ
Fig.26の表水のある場所に成育。
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●湿生植物 ホザキノミミカキグサ
ヒツジグサ
Fig.28 ヒツジグサ
兵庫県南部では普通種だが、いつ見ても涼しげでなごむ。
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●浮葉植物 ヒツジグサ 
エフクレタヌキモの花
Fig.29 エフクレタヌキモの花
外来種。播磨地方の2ヶ所の溜池で確認。人為的な移植である。
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●浮遊植物 エフクレタヌキモ
特定外来種オオフサモ
Fig.30 特定外来種オオフサモ
アクアリウムからの逸出。茎は太く、水中葉は赤味が強い。
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●抽水〜沈水植物 オオフサモ
ヤブミョウガの花
Fig.31 ヤブミョウガの花
市内にて。花は花序に輪生状につく。
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ミズタマソウ
Fig.32 ミズタマソウ
萼筒には先の曲がった剛毛が著しい。葉の基部はくさび形。
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クマヤナギ
Fig.33 クマヤナギ
溜池土堤の林縁にて。開花期。
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イソノキ
Fig.34 イソノキ
標高の高い場所では、まだ開花中だった。
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ボタンヅル
Fig.35 ボタンヅル
高標高地で開花。開花はしだいに麓に降りてくる。
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クサアジサイ
Fig.36 クサアジサイ
装飾花は少なく、中には全くないものもある。
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ジュウシホシツツハムシ
Fig.37 ジュウシホシツツハムシ
溜池土堤にて。食草はマルバハギ。
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カナビキソウとシロヘリツチカメムシ
Fig.38 カナビキソウとシロヘリツチカメムシ
シロヘリツチカメムシは他地域では稀少種で、カナビキソウが食草。
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●関西の花 カナビキソウ
ヨツボシゴミムシダマシ
Fig.39 ヨツボシゴミムシダマシ
倒壊寸前の枯れたアベマキ巨樹の表面に広がる菌塊を食していた。
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フトナガニジゴミムシダマシ
Fig.40 フトナガニジゴミムシダマシ
前肢には点刻列だけが並び、隆条はない。
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ヨツスジトラカミキリ
Fig.41 ヨツスジトラカミキリ
様々な種の伐採木を食す広食性で、この時期よく見られる。
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キマダラセセリ
Fig.42 キマダラセセリ
河畔の林道脇でテリトリーを張っていた。
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オオミズアオ
Fig.43 オオミズアオ
身近なフィールドではオナガミズアオよりもよく見かける。大型蛾類美麗種。
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オオケマイマイ
Fig.44 オオケマイマイ
ムカゴイラクサの葉上に数個体がついていた。川沿いでよく見る。
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---------------------------------------------- 8th. Aug. 2011 ------------------------------------------

但馬の汽水域と海浜・海崖草地の植物
5月の終りに但馬地方を訪れた際、海岸周辺を巡りましたが、その際入り組んだ海岸に砂浜・海崖・草地などの多様な環境が成立し、 実に多くの種がそれぞれの環境にあわせて生育しているのにすっかり魅了されてしまい、夏と秋に是非再訪しなければと思っていました。 今回は海岸とともに円山川の汽水域や氾濫原も少しですが探ってきました。 円山川流域ではかつて氾濫原だった休耕田の戸島湿地がコウノトリの飛来でよく知られていますが、今回は海岸がメインだったので、立ち寄る時間がありませんでした。 秋に機会があれば訪れてみたいと思っています。 現在、円山川下流域にある豊岡市は、河口から上流の11キロにかけてラムサール条約に登録しようと準備中で、コウノトリ湿地ネットなどの市民団体とともに湿地造りなどを進めています。 ラムサール条約に登録されれば、山陰海岸ジオパーク構想とともに、この地域の自然度の高い環境と生態系が積極的に守られることになるでしょう。 今回のフィールド・メモは5月終りに訪れた際のバックナンバーも一緒にご覧頂くと、但馬の海岸の多様な植生がご理解いただけるのではないかと思います。

2011年 5月30日・但馬の海岸から高原へ その1

氾濫原の池跡湿地
Fig.1 円山川氾濫原の池跡湿地
円山川の河口付近には氾濫原に成立したとみられる浦のような溜まりや池、湿地が見られる。 このような場所は埋立られてたり、排水して水田として開発されてしまうことが多いが、この地域では古い景観を残す場所が点在している。 この場所はかつての浦に続く湿地であったか、浅い池の跡と見られる場所で、湿生植物群落が成立し、イノシシの撹乱によって遷移がある程度さまたげられているようである。 群落の構成種はサンカクイ、カンガレイ、アゼナルコ、イグサ、ヤナギタデ、ヒロハノコウガイゼキショウ、クサネムなどであった。 湿地内に踏み込むと、イノシシやシカに多いダニであるキチマダニが数匹、すぐにズボンに付いて来た。 こういったダニ類は日本紅斑熱を媒介することがあるので、注意が必要である。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
開花中のサンカクイ
Fig.2 開花中のサンカクイ
サンカクイは大河川の下流域の氾濫原によく見られる種であり、抽水〜陸生状態で泥中に長い根茎を横走して群落をよく形成する。 円山川下流域では自然度が高いだけに湿地、池畔、小河川内などいたるところで生育していた。 画像のものはちょうど開花期で、鱗片の間から多数の淡黄色の葯を出している。 近くの水路ではサンカクイとともに結実期のコウキヤガラが生育していた。 コウノトリが飛来する戸島湿地でもコウキヤガラの群生が確認された。 コウキヤガラは兵庫県版RDB Bランクとされており、この地域の自然度の高さが伺える。
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●湿生植物 サンカクイ  ●抽水植物 コウキヤガラ
ホザキノフサモ
Fig.3 ホザキノフサモ
ホザキノフサモはアリノトウグサ科フサモ属の中では自然湖沼や河川の下流域や汽水域に比較的よく見られる種であり、これまで山間や棚田の溜池で見かけたことはない。 同属のフサモやオグラノフサモ、タチモが山間や棚田の溜池に生育するのとは対照的であり、花序がなくとも県内の平野部の河川で生育しているものはほとんど全てホザキノフサモと見てもよい。 画像のものは満潮時には海水の流入のある浦状の池であり、その浅瀬に群落を形成している集団である。 池内には汽水域の巻貝であるイシマキガイが生息し、潮の干満にあわせてホザキノフサモの切れ藻が流出・流入していた。但馬沿岸部の中河川でも同様な状況が観察され、但馬地方では比較的普通に見られる。
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●沈水植物 ホザキノフサモ
ホザキノフサモ陸生形
Fig.4 ホザキノフサモ陸生形
円山川汽水域と水路でつながった池の岸辺に生育しているもので、立地的に干上がることはないが、やはり潮の干満によって水位変動がある。 この水位変動のある部分では陸生形が帯状に生育していた。 水位変動域(潮間帯)より少し深い場所に生育するものでも、干潮時に植物体が気中に出る茎頂部は小さな陸生形となっているものも多く見られた。 このような汽水域では同所的に生育する種は少なく、生育のよくないイグサやヤナギタデ、ヌマトラノオ、メアゼテンツキ、小型のアシなどが見られたにすぎない。
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ハンゲショウ
Fig.5 ハンゲショウ
Fig.3のホザキノフサモが生育する浦状の池の縁に生育していた。後方の水面に見られる水草はホザキノフサモ。 ここでは池から山際に続く湿った草地に大きな群落を形成していた。 付近はシカの食害が多いが、ハンゲショウは全く食害されておらず、シカの忌避植物のようである(Fig.24参照)。
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●湿生植物 ハンゲショウ
カモノハシ群落
Fig.6 カモノハシ群落
円山川の下流域には中洲状の島が点在している。橋で渡れる中洲もあるので、そのうちのひとつを歩いてみた。 中洲のほとんどの部分はヨシの群落がびっしりと生育しているが、農道の脇には数種の湿生植物が生育しており、中でもカモノハシが農道沿いに見事な群落をつくっていた。 県南部では大河川の氾濫原での生育は見かけたことはなく、新たな知見を得た。
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●湿生植物 カモノハシ
ウシノシッペイ群落
Fig.7 ウシノシッペイ群落
中洲ではヨシ群落の縁にウシノシッペイも群落を形成し目立っていた。 ウシノシッペイは河川敷、農地の用水路脇、湿った草地などに生育するが、これまでの経験から、本種が生育する場所には他にも何か面白い種や稀少種が生育していることが多い。 西宮市ではサデクサやシロネとともに、篠山市ではキキョウやタムラソウ、オトコゼリなどが、洲本市ではゴキヅル、コカモメヅル、コイヌガラシ、カワヂシャなどが周辺で生育していた。 ここでは次に紹介するタチコウガイゼキショウやヒメコウガイゼキショウが出現した。
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●湿生植物 ウシノシッペイ
タチコウガイゼキショウ
Fig.8 芽生したタチコウガイゼキショウ
タチコウガイゼキショウは兵庫県版RDBには記載されていないが、県下では稀なイグサ科イグサ属の多年性草本で、記録の多くは沖積地の古い溜池畔であり、山間の貧栄養な溜池畔には現われないようである。 これまで県北部での記録はなく、こんな場所に生育しているとは思いもよらなかった。 結実後の頭花から盛んに芽生していたので、ハリコウガイゼキショウだろうと思ったが、ハリコウガイゼキショウは河川敷や汽水域に出現する種ではなく既知の生育環境とは全く一致しない。 直立する草丈も高く、硬質で、ハリコウガイゼキショウは草体がやや軟らかいため、ここまで草丈が高いと必ず倒伏しているものである。 熟した刮ハもあったのでルーペで観察すると、楕円形で先が凸出しており、花被片と同長か少し長いものだったためタチコウガイゼキショウであると判った。 またweb上はおろか、図鑑にも頭花からの芽生を記述したものはなく、興味深い発見となった。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 タチコウガイゼキショウ
ヒメコウガイゼキショウ
Fig.9 結実期のヒメコウガイゼキショウ
ヒメコウガイゼキショウは沖積地の、圃場整備とは無縁の古くから水利条件のよい農地が広がる田畑や河川下流域の河川敷などに生育する。 平野部に広く薄く分布する在来種であるが、近年では外来のヒメコウガイゼキショウが都市部の河川敷や造成地に進入し、在来と外来との境界が微妙になりつつある。 本種はコスモポリタン種であるため、外来と在来との区別はほとんどできない。 外来のものは雄蕊3個のものが出現することがあるというが、雄蕊が3個となる減数型はタチコウガイゼキショウにも見られ、雄蕊の数で区別することができるかどうかは不明である。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 ヒメコウガイゼキショウ
トウオオバコ
Fig.10 トウオオバコ
トウオオバコは沿海地に生育し、オオバコと比べて草体は大型で花茎は時に1mにもなり、画像のものも50cmほど直立して伸びていた。 兵庫県下では但馬地方の沿海地、淡路島、家島群島に分布している。 画像のものは砂浜に流れ込む小河川の河川敷の砂地に生育していたもので、この日出会った唯一花茎を上げている集団だった。 中洲のヨシ群落の縁にも見られたが、ヨシの陰となって生育条件があまりよくないためか花茎はあげていなかった。 但馬地方の海岸ではエゾオオバコも生育するが、この日は花茎を上げている個体には出会えなかった。
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ケカモノハシ
Fig.11 ケカモノハシ
トウオオバコが生育する小河川の河口でケカモノハシが点在していた。兵庫県下ではそれほど自生地は多くはなく、ここでも個体数は10個体程度であった。 おそらく近いうちにRDBにリストアップされるだろう。次に紹介するハマニガナは兵庫県版RDBではCランクとなっているが、ハマニガナよりもはるかに個体数は少ない。 ケカモノハシはカモノハシよりも若干花序が太く、小穂は軟らかい伏毛に覆われている。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ケカモノハシ
ハマニガナ
Fig.12 ハマニガナ
前回5月末に但馬の砂浜を訪れたのは早朝であり、まだハマニガナは開花していなかった。 すでに開花全盛期をすぎているが、開花画像が撮れないものかと思い午前10時ごろに砂浜に行くと、ちょうど良い開花状態の画像を撮影することができた。 花の大きさはオオジシバリに似て、開花していれば見落とすことはない。 但馬地方の砂浜にはハマニガナが多く、県のRDBではCランクとされているが、ジオパークに登録されて地域の保全意識が高まれば決して絶滅することはないだろう。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ハマニガナ
海崖草地の植生
Fig.13 但馬の海崖草地の植生
海岸の風衡地の海崖や急な斜面では、小潅木とともに様々な草本による草地が成立している。 画像は急な斜面の下部の湧水のある部分で見られた植物群落で、ススキやヨモギに混じって草原性のコオニユリ、山地性のオオバギボウシ、湿生植物のミソハギが同時に開花して賑やかである。 この斜面にはこの他、イワガサ、タニウツギ、ニッコウバイカウツギ、テリハノイバラ、オニヤブソテツ、ニオウヤブマオ、イソアオスゲ、イソヤマテンツキ、ヤマイ、コウボウシバ、ユウスゲ、アサツキ、キジカクシ、 ヒメドコロ、ヒオウギ、コウガイゼキショウ、アズマガヤ、ヤマカモジグサ、ハマエノコロ、ハマツメクサ、カワラナデシコ、セリモドキ、ハマゼリ、タイトゴメ、マルバマンネングサ、ヤマハタザオ、ハマエンドウ、 メドハギ、アキカラマツ、エビヅル、ヘクソカズラ、アオツヅラフジ、ハマボッス、ツリガネニンジン、ヤマハッカ、ヤクシソウ、リュウノウギク、ハマベノギクなど、様々な環境下に生育する豊富な植生が見られる。
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コオニユリ
Fig.14 コオニユリ
コオニユリは里山に生育するオニユリに似るが、より小型で花も少し小さく、葉腋にムカゴをつくらない。 オニユリは大陸からの史前帰化植物とされ結実しないが、コオニユリは在来種でよく結実する。 ふつう山地の草原に生育するが、但馬の海岸では岩場やその周辺の急斜面の草地に数多く生育している。 こうした岩場に生育するものは葉が細くなり品種ホソバコオニユリとされるようだが、観察した限りでは変異は連続的であり、あえて区別する必要はないように思われる。 瀬戸内海側の同様な場所ではオニユリが多く、コオニユリは見られない。 海崖に生育するものは草地に生育するものより小型の個体が多く、狭い岩場の隙間にどのような形で鱗茎を発達させているのかと不思議に思う。 コオニユリの鱗茎はオニユリの鱗茎と比べて苦味はなく、甘味があり食用となる。 これだけの個体数が生育しているのであれば食用に畑地で栽培されていても不思議はないと思うのだが、付近で栽培されている様子は全くなかった。
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●関西の花 コオニユリ
オオバギボウシ
Fig.15 オオバギボウシ
太平洋側のものをオオバギボウシ、日本海側のものをトウギボウシとすることがあり、この場所に生育するものはトウギボウシのタイプに近いが、変異は連続的であるとされ、ここではオオバギボウシとしておく。 ここでは水分条件が良いためか大株が多く、草地斜面で多くの個体が生育している。 オオバギボウシは崖地や山地の林縁草地にまとまって生育していることが多い。 但馬地方では海岸の草地と高原の草原や渓流の岩壁に点々と分布している。 このような場所では樹木の生育が抑制され、日照も充分にあるためオオバギボウシの生育環境が残されていると考えられる。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 オオバギボウシ
ヒオウギ
Fig.16 ヒオウギ
ヒオウギは自然度の高い山間の里山の草原に生育するアヤメ科の多年性草本であり、このような環境が減少しつつある現在、多くの地域で絶滅が危惧される種とされている。 兵庫県下では草原環境が比較的良い状態で残っているためヒオウギはRDBに記載されていないが、やはり眼にする機会はそれほど多くない。 里山では自生するものよりも畑地や庭で栽培されているダルマヒオウギという小型で花数の多い園芸品種を見ることが多い。 花後には種子は刮ハが裂開しても強い光沢のある種子が残り、「ウバタマ」あるいは「ヌバタマ」として古くに枕詞に「暗闇」の象徴として使われた。
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●関西の花 ヒオウギ
セリモドキ
Fig.17 セリモドキ
セリモドキもオオバギボウシやヒオウギと同様、山地や山間の林縁や草地に出現する種である。 兵庫県版RDBではCランクとされているが、但馬の沿海地では比較的よく見られ、沿海地の畑地や水田の土手や林縁にも進出していた。 風衡地が多い但馬の海岸では樹木の生育が抑制されるため、草原性の植物が生育適地に古くから定着して生き残っているのだろう。 海岸部に生育するものは葉が厚味を増して光沢が強く、水分を奪っていく海風に備えて表面のクチクラ層を発達させているのだろう。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 セリモドキ
カワラナデシコ
Fig.18 カワラナデシコ
兵庫県の瀬戸内海側の海浜ではハマナデシコが生育しているが、日本海側ではハマナデシコは生育せず、その代わりにカワラナデシコが海崖や草地斜面に出現する。 画像では高潮で海水の飛沫がかかるような岩場にテリハノイバラやコウボウシバとともに生育しており、その環境適応能力の高さに驚かされる。 カワラナデシコの生育にとっては塩分濃度、水分条件よりも日照条件がもっとも重要なのだろう。 カワラナデシコは里山の草地でもよく見かけるが、必ず日当たり良い草刈りの行き届いた草地に見られる。
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●関西の花 カワラナデシコ
アキカラマツとミソハギ
Fig.19 アキカラマツとミソハギ
どちらの種も里山の棚田の土手や草地に普通に見られる種である。 アキカラマツは里山の草刈りされる管理の行き届いた土手や溜池土堤によく出現し、ミソハギは溜池畔や用水路脇によく見られる種である。 両種とも人為的な環境に依存していると見られる種であるが、自生する場所は人為的な環境改変の及ばない場所であり、これらの種が生き残り、生育領域を広げる拠点となった可能性が考えられる。 フナバラソウやミシマサイコなどが兵庫県播磨地方のハゲ山が温床となって分布を広げた可能性が指摘されているが、その一方で但馬地方の風衡地に生育する草原性植物も、北から人為的要因によって分布域を広げた可能性がある。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 アキカラマツ  ●湿生植物 ミソハギ
イソヤマテンツキ
Fig.20 イソヤマテンツキ
イソヤマテンツキは海岸の岩場や、汽水域や海岸後背地の塩性湿地に生育するカヤツリグサ科の多年性草本で、海岸部の埋め立てや開発によって減少した種であり、 兵庫県版RDBではCランクとなっている。 かつては西宮市内の武庫川河口にも生育していたようだが、護岸工事で自生地は消滅した。 但馬地方では岩場の湧水がしみ出し、かつ高潮で海水の飛沫が飛んでくるような高潮域にまとまった集団が見られる。 ここでは高潮域ではイソヤマテンツキが生育するが、そのすぐ上の被植の少ない草地斜面では同属のヤマイが生育し、大変紛らわしい。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●湿生植物 イソヤマテンツキ
ニオウヤブマオ
Fig.21 ニオウヤブマオ
ニオウヤブマオは海岸に生育するヤブマオの仲間で、葉に厚味があり、大型の草体となる豪壮な多年性草本である。 このあたりの種の分類には諸説がありオニヤブマオ、サイカイヤブマオは非常に似た種であるが、ここでは兵庫県産維管束植物のリストに従ってニオウヤブマオとした。 おそらくニオウヤブマオ、オニヤブマオ、サイカイヤブマオをニオウヤブマオ1種にまとめる見解が採用されているのだろう。 茎は大変丈夫で、立ち枯れた太い茎が日本海の風雪に耐えて、翌年の初夏まで残っている。 ここでは海崖の亀裂から斜面草地、高潮域の転石の間まで広く生育していた。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ニオウヤブマオ
ハマゼリ
Fig.22 ハマゼリ
ハマゼリもニオウヤブマオ同様、海岸の様々な場所に適応して生育している。 画像は高潮域の転石の間に生育しているもので、茎を転石の隙間にそってはわせ、ハマヒルガオ、スナビキソウ、キジカクシなどとともに見られた。 ハマゼリは瀬戸内海側にも生育しており、瀬戸内では砂浜で生育していることが多い。
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●関西の花 ハマゼリ

 ------- 写真帳 2011・7・27 --------------------------------------------------------------------------------------------
ヒロハノコウガイゼキショウの花
Fig.23 開花したヒロハノコウガイゼキショウ
早朝に撮影。開花は午前中。雄蕊3個。
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●湿生植物 ヒロハノコウガイゼキショウ
ハンゲショウ群落
Fig.24 ハンゲショウ群落
シカの多い場所で群落を形成。シカの忌避植物のようである。
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●湿生植物 ハンゲショウ
イシマキガイ
Fig.25 汽水域の巻貝イシマキガイ
アクアリウムの水槽のコケ取りとして流通している。
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クロベンケイガニ
Fig.26 クロベンケイガニ
他にアカテガニやベンケイガニなどもいた。
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満開のハリギリ
Fig.27 満開のハリギリ
この時期にあちこちで満開。キバネセセリの食樹。
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スナビキソウと海浜植物
Fig.28 スナビキソウと海浜植物
ハマヒルガオ、ハマニガナ、コウボウシバとともに。
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●関西の花 スナビキソウ
コオニユリの生育環境
Fig.29 コオニユリの生育環境
褐色の枯れた花序は結実後のタイトゴメのもの。他にアキカラマツ、ハマベノギクなど。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 コオニユリ
ヒオウギの生育環境
Fig.30 ヒオウギの生育環境
ススキ、ヨモギ、キジカクシ、エビヅル、メドハギ、オオバギボウシなどとともに生育。  (画像をクリックすると拡大画像がご覧頂けます。)
●関西の花 ヒオウギ
アキカラマツの花
Fig.31 アキカラマツの花
開花初期。花弁はない。萼片4個。
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●関西の花 アキカラマツ
ハマゼリの花
Fig.32 ハマゼリの花
花は小さく径数ミリ。花弁は内巻きする。
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●関西の花 ハマゼリ


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